両建ては、異なる売買方向のポジションを同時に保有する少し複雑な取引方法です。
ようするに、普段の取引と違い2つのトレードを一緒に行うため初心者には難しいと言えます。
また、両建ては各仮想通貨FX業者で利用規約に細かなルールを確認しておくべきです。
特に仮想通貨FXでボーナスを使って上手く稼ぎたいなら、両建てのルールをしらないと口座凍結や、出金拒否といったトラブルが起こるでしょう。
本記事では「仮想通貨FXのボーナスと両建て」について各社の利用規約と違反となる具体例をご紹介します。
目次
そもそも両建てとは?
両建てとは、同じ通貨ペアあるいは同じ銘柄の「買いポジションと売りポジションの両方を持つこと」です。
また、両建てで持つポジションのサイズは、買いと売りが同じサイズであることを指します。
両建てを行った状態では、価格が上がれば買いポジションの含み益が発生し、売りポジションでは含み損が同じ金額で発生し、逆に下がった場合でもお互いの損益が相殺されるのが特徴です。
ただし、実際にはスプレッド分は必ず含み損として最初に発生するため、厳密にポジション損益が完全に相殺される分けではありません。
とは言え、両建てを使ったトレード戦略として「裁定取引(さいていとりひき)」は個人、機関投資家に関係なく、多くのトレーダーが使っています。
両建てと裁定取引
両建て取引を利用したトレード戦略として「裁定取引(さいていとりひき)」が代表的です。裁定取引とは、「同一の価値を持つ金融商品の価格が一時的にズレる時を狙った取引」を指します。
FXにおける裁定取引で定番なのはスワップポイントの裁定取引です。スワップポイントは、異なる通貨同士で構成される通貨ペアの性質上、どうしても発生する金利差を生産する仕組みです。
毎営業日に金利の差額を生産するため、通貨ペアによってスワップポイントを受け取ったり、支払う必要があります。
提示されるスワップポイントの中には、両建てすることでスワップポイントが利益として残る場合もあるため、特定の通貨ペアを狙うのがスワップポイントの裁定取引です。
仮想通貨FXのボーナスを使った両建ては規約違反になる可能性がある
仮想通貨FXを取り扱う取引所や、海外FX業者の多くが豊富なボーナスを提供しています。
ボーナスは、トレードの証拠金に使えるクレジットとして付与されるのが一般的です。
ボーナスをトレードで使うのは非常に効果的ですが、「ボーナスを使った両建て」は規約違反になる可能性があるので注意しましょう。
また、両建て自体は基本的に認められているのと同時に、両建てを使った適切な取引の判断は仮想通貨FX初心者には難しく、業者側は推奨していないことが多いです。
Bitterzの両建てに関する利用規約を確認
仮想通貨FX取引所Bitterz(ビッターズ)の両建てに関する利用規約を確認してみましょう。
Bitterzの利用規約には、両建てについて「複数の業者間による両建て」と「Bitterzの複数口座で両建て」を禁止する記載があります。
(参考:Bitterzの利用規約「第11条利用者の禁止行為」より)
また、両建てに関する禁止事項についてボーナス分含むと明記されているのが重要です。両建てについて補足すると、許可されているのは同一口座内で簡潔する両建てになります。
禁止されているのは、Bitterzで買い・他社口座で売る、あるいはBitterz内のA口座で買い、B口座で売るといった両建ての方法です。
Bitterzの利用規約では、禁止されている両建てを行った罰則として「無条件で利用停止・アカウント削除、報酬の凍結や出金の停止」があり、また場合によっては法的処置により処理するとしています。
非常に厳しい規約があるため、複数口座・複数業者間の両建ては行わないようにしましょう。
仮想通貨FXのボーナスを悪用した取引とは
仮想通貨FXのボーナスを悪用した取引について具体的に解説します。特に、為替FXと仮想通貨FXで複数の業者を利用している方や、複数の仮想通貨FX取引所を利用している方は要チェックです。
意図せず行ってしまった禁止取引も罰則の対象となるため、どういった両建てが、仮想通貨FXのボーナスを悪用した取引なるのかを把握しておきましょう。
2つ以上の複数口座を使った両建て
2つ以上の複数口座を使った両建ては、誤って行う可能性が高い仮想通貨FXのボーナスを悪用した取引です。2つ以上の複数口座を使った両建ての例は以下の取引になります。
- 【A口座】新規口座開設ボーナスを受け取った口座でBTC/JPYを1ロット買い
- 【B口座】追加で開設した口座でBTC/JPYを1ロット売り
- BTC/JPYの価格が下がり、20万円ほどの下落があった
- A口座は強制ロスカットにより残高0円、B口座は20万円の含み益が残る
上記のA口座とB口座を使った両建て取引を行った場合、A口座の口座残高はゼロカットにより、20万円の損失は10万円が口座から、不足分は業者側が損失を補填します。
しかし、B口座で利益が得られるため、トレーダーは得をしても業者は一方的に損失を抱えるのが問題です。したがって、ボーナスを悪用した取引として罰則の対象となります。
複数人や他業者間での両建てもディーラーに筒抜け
同じ業者の追加口座がだめなら、他社口座を使った両建てならバレないといった考えは厳禁です。複数人や他業者間での両建てもディーラー、ディーリングシステムにより簡単に把握されます。
仮想通貨の現物取引や仮想通貨FXでは取引ツールから注文すると、ディーラーやディーリングシステムを通して、市場へカバー注文が流れる仕組みとなっているため、業者側で他社の注文を把握できるからです。
例えば、海外と国内の取引所間の両建てでも、同じく簡単に両建ては判明します。
実際に、国内の仮想通貨FX取引所GMOコインでも、カバー先の取引相手に大手取引所BinanceやCoinbase、QUOINEといった名前が公式で確認可能です。(参考:GMOコイン「店頭 仮想通貨 証拠金取引 の重要事項説明書」)
仮想通貨FXに限らず、金融機関における取引には、取引相手がいるため密接に繋がっています。複数人や他業者間での両建ては行わないようにしましょう。
三すくみや相関性のある通貨ペアの両建ても監視されている可能性がある
三すくみや相関性のある通貨ペアの両建ても、禁止行為として監視されている可能性があるため注意しましょう。相関性とは、異なる通貨ペアや仮想通貨でも動きが連動しやすいことを言います。
また、三すくみを解説するにはドル円とユーロドル、ユーロ円の3つの通貨ペアが分かりやすい例です。ドル円とユーロドルは逆相関が見られやすく、一般的にドル円が下がればユーロドルが上がる、もしくは逆となる関係が多く見られます。
ドル円とユーロドルは国際決済銀行(参考:BIS)による発表でも、世界的に取引量の多い通貨ペアになりますが、ユーロ円は取引量が少なく、市場では分解して取引される合成通貨ペアです。
多くは、ユーロ円をユーロドルや、ドル円として分解して市場へ流すため、実質「三すくみ」として相関性が見られやすくなります。
同じ通貨ペアでなくても、複数業者で相関性のある通貨ペアを両建てすると禁止行為に当てはまる可能性があるため注意しましょう。
もちろん、相関性も必ず発生する法則ではないため、各証券会社が提供する「相関係数」を調べてみると良いでしょう。
海外FXでは両建てが厳しく禁止されている
海外FX業者では、多くが両建てに対して厳しい利用規約を設けています。為替の通貨ペアだけでなく、株価指数や仮想通貨、貴金属を取り扱うCFD(差益決済取引)も両建ての規制対象に含まれています。
したがって、仮想通貨FXを専門に扱う業者でも同様に全てが両建てに対して利用規約を設けていると考えておくのが無難です。ここでは、具体例として海外FX業者の両建てに関する利用規約を一部ご紹介します。
GEMFOREXの両建てに関する利用規約
最大1000倍のレバレッジや、独自の自動売買サービスで有名な海外FX業者GEMFOREX(ゲムフォレックス)。両建てに関する利用規約は、第12条の「利用者の禁止行為」に次の様な記載があります。
- 違法または疑わしい活動をする行為
- 当社判断で不適切とみなすトレード行為
- 2つの業者(または複数業者)に入金して、両建て取引する行為(同通貨ペア、相関性の高い通貨ペアも含みます)
- 当社複数口座で両建てする行為(同通貨ペア、相関性の高い通貨ペアを含みます。)
- 第三者同士が同じタイミングで入金やトレードを繰り返し、同じタイミングで出金する行為
GEMFOREXでは、前述した三すくみ・相関性の高い通貨ペアも含めて両建てと利用規約で定義しており、単純に第三者と共謀した両建てだけでなく、入出金まで対象とする徹底ぶりが伺えます。
また、GEMFOREXが自動売買サービスを得意としていますが、自動売買のプログラムに両建てが組み込まれている場合も注意しましょう。
特に複数の自動売買を稼働させていると、意図せず複数口座・複数業者の両建てを行ってしまい口座凍結となる可能性もあります。
is6fxの両建てに関する利用規約
is6fx(アイエスシックス)は、親会社の買収を受けis6comから名前を変えた海外FX業者です。期間限定の口座開設ボーナスや、口座数限定のレバレッジ最大6000倍の提供といったプロモーションでis6fxは注目を集めました。is6fxの両建てに関する禁止行為には、以下の内容が記載されています。
- 不当なトレード報酬を得るトレード
- 当社判断で不適切とみなすトレード
- 複数の業者(もしくは複数のトレーダー)の口座で両建て等のヘッジ取引を行うこと
- 当社で複数の口座を持ち、両建て等のヘッジ取引を行うこと
- 第三者同士が同じタイミングでトレードを繰り返し、同じタイミングで出金すること
- 提供サービスやシステムの盲点を狙った悪質とみなすトレード
GEMFOREXと同様に、第三者同士の両建てと入出金もis6fxでは禁止行為の対象としています。また、特徴として「提供サービスやシステムの盲点を狙った悪質とみなすトレード」には注意しておきましょう。
例えば、本来の方法ではなくとも受け取れるボーナスなど、何かしらのバグが発生した際に、悪用して両建てを含むトレードを行うと罰則の対象となります。
LAND-FXの両建てに関する利用規約
LAND-FX(ランドFX)は、自社でカバー先の金融機関となるリクイディティ・プロバイダー事業を展開する大手海外FX業者です。
豊富なボーナスを提供する中、ボーナスを悪用するユーザーが多く発生したことで、利用規約に関する注意喚起も行われています。LAND‐FXの両建てに関する利用規約には、以下の内容が記載されています。
- 複数業者間での両建て取引及び疑わしい取引
- 当社複数口座での両建て取引及び疑わしい取引
- 特定グループないでの両建て取引及び疑わしい取引
- 提供サービスやシステムの欠陥を利用した悪質とみなす取引
特に、LAND-FXではリクイディティ・プロバイダー事業開始記念で実施されている「100%ボーナスのLPボーナス口座」を使った不正行為に対して警告がされています。ボーナスを不正に取得して、両建てを行い利益を狙う悪質な裁定取引が確認されており、不正行為は口座凍結や出金拒否といった罰則の対象です。
まとめ|ボーナス使った仮想通貨FXの両建てには注意が必要
今回は「仮想通貨FXのボーナスで両建てはできる?規約違反になるのか検証」のテーマでお届けしました。
両建ては上手く取り入れると、スワップポイントを狙った裁定取引など、利益率が低いもののリスクの低い運用が可能です。
ボーナスを含めて、裁定取引をすれば資金を底上げして、効率よく運用できます。
とは言え、両建てとボーナスの組み合わせには、各社で細かなルールと罰則があるため細心の注意をはらいましょう。
両建ては、同一口座内だけで行うのが絶対です。